阿萨辛 猫头鹰:無施肥無農薬栽培用の水稲機械移植苗の育苗について

来源:百度文库 编辑:偶看新闻 时间:2024/05/05 08:35:59

無施肥無農薬栽培用の水稲機械移植苗の育苗について

2004年度研究報告報告者 奥村俊勝

1. はじめに

普通の施肥栽培水田での機械移植は、ほとんどが稚苗で行われる。その稚苗の育苗は、原則的に育苗箱(60×30×3cm)に種蒔きの後、加温育苗器やビニールハウスを利用して、出芽期、緑化期、硬化期を経て約21日間で完成する。その床上には、あらかじめ肥料3要素が混入された培養土を用い、1箱当たりモミ180 ~200gの播種量とされる。しかるに、無施肥無農薬田用の機械移植苗の育苗の際には、床上に上記のような培養土を用いることができない。そのために、機械植えの際の苗の大きさが不十分で、かつ根張りが悪く、育苗箱から移植用に取り出した稚苗マットの完成度が不十分で、取り扱いに支障が生じる場合が多い。 そこで、以下の実験を通して、無施肥無農薬田での機械移植作業に適する稚苗の育苗方法を検討した。その場合の条件として、

  • ①機械移植用育苗箱を用いること
  • ②育苗箱に充填する床上は無施肥田の土壌を用いる
  • ③床上には化学肥料を混入しない。目標とする稚苗の大きさは、
    • 1.2~3葉期苗とする
    • 2.機械植えの出来るに充分な草丈をもつこと
    • 3.1かきのツメで約4~5本の苗を掴むこと
    • 4.マット状に根がしっかり張ること  とした。

2. 実験方法と材料

1)床上の条件により4試験区およびモミ播種量により2試験区を設定

  • ◎床土の条件
    • A区;栗東の無施肥田水口付近の土壌区
    • B区;A区土壌に少量の化学肥料混入区(3成分とも0.8g/箱)
    • C区;市販の培養土区( 3成分0.8g/3kg soil)
    • D区;あらかじめ無機化させたA区土壌区(30℃,湛水静置条件,約2週間)
  • ◎タネモミの播種量
    • 1区:鳩胸状態のモミ 180g/箱
    • 2区:鳩胸状態のモミ 250g/箱

2)材料

  • 供試品種;日本晴
  • 使用育苗箱; 60cm×30cm×深さ3cm
  • 充填土壌量;各区ともに (重量 3kg)または(容量 4.IL)/1箱
  • D区の供試土壌の作成;3Lのビーカーに2kgの栗東の無施肥田水口付近の土壌を入れ、そこに蒸留水を注ぎ込み、30℃の保温器内で2週間、湛水静置条件で窒素の無機化を促した。
  • 育苗条件;ガラス室内において、畑苗代状態で育苗させた。

3)調査

苗の生育調査(草丈、根長および苗の乾物量)および写真記録により各区の苗の地上部と根部の生長状態を記録して検討した。

3. 結果と考察

1)写真による生長度の比較

発芽状態には大きな区間差は認められなかった(P2)。

P1. 播種前の床土をいれた育苗箱の状態P2. 播種後6日目の芽生え状態

播種後6日目の稚苗の草丈では培養土のC区が播種量に拘らず他区よりもやや高くなったが、各区ともに播種量による差異は認められなかった(P3)。

P3. 播種前の床土をいれた育苗箱の状態

播種後14日目の草丈においても、各区ともに播種量による差異はないが、肥料成分を持つB区とC区の丈がA,D区よりかなり大きくなり、葉色の緑も濃くなった。A区はD区よりもやや生育が劣り、無機化の効果が認められた(P4)。

P4. 播種後14日目の稚苗

普通の栽培で用いられる移植時期にあたる播種後21日目の各区の稚苗において、C区やB区の草丈は約20cm近く伸長したが、A区では約10cm、 D区では約14cm程度であった。なお、葉色はA区のみやや淡緑色であった(P5)。

P5. 播種後21日目の稚苗

播種後2 5日目の根張り状態は、C区がやや悪い状態であったが、その他の区では充分に発根が認められた(P6-1. 2)。

P6-1. 播種前の床土をいれた育苗箱の状態P6-2. 播種前の床土をいれた育苗箱の状態P7. 播種51日後の稚苗の状態

2)稚苗の乾物増加パターンの比較

写真比較や実際的な育苗箱の肉眼的判断により、苗の生育量に播種量の影響がほとんど認められなかったので、この比較には1区と2区を平均して1本の苗(地上部十根部)の乾物重の播種から1か月後までの変化を図1に示した。発芽後、約10日間は全区において区間差が認められなかった。しかし、その後、A区とD区は10日~20日の期間中に乾物重が減少し、その後における増加も僅かにD区が多くなるが、全体的にほぼ同一のパターンをとった。一方、B区とC区では、乾物重の減少は見られず、20日以降に急激な増加が見られるほぼ同一のパターンをとった。一般的に、発芽から10日程度はモミ内の胚乳に依存した従属栄養で苗は生育し、この間のエネルギー消耗により個体重の増加は認められない。つまり、A区とD区では、床上内の有効な窒素養分量が極めて少なく、独立栄養期に入っても外部からのその養分供給が不足して生長が遅れ、約1か月後から徐々に培土から発生する無機態窒素によって生育が回復したものと思われる。

図1. 1苗当たり乾物重の変化(1区と2区の平均)

3)稚苗の草丈と根長の比較

播種後21日と33日目の稚苗の草丈と根長を図2に示した。B, C区の草丈は21日目には15~20cmに達するが、A,D区では10cm程度であった。根長では、区間差はほとんど認められなかった。33日目になると、A,D区の草丈は、B区の21日目とほぼ同じ丈になった。根長では区間差がなかった。

図2. 稚苗の草丈と根長(1区と2区の平均)

4.結論

以上から、無施肥田において機械移植が可能となる育苗法としては、次のような技術的対応が示唆出来るであろう。

  • ①播種量は一般的な量よりもやや多めにすること
  • ②床上には無機化処理を行った無施肥田土壌を用いること、ただし、無機化処理期間を長期化すること、
  • ③播種後30日程度の令の苗を移植に用いること
等が考えられるだろう。