reinatanaka原名:農業ネット(施肥の基礎)-④土壌診断の基本

来源:百度文库 编辑:偶看新闻 时间:2024/04/28 23:46:26
④土壌診断の基本
土壌診断を行う場合、窒素やりん酸、加里、石灰、苦土などの主要成分を分析することも必要ですが、pHとECの測定によってかなりのことが判断できます。
人間の健康診断に例えると、pHは「体温」、ECは「血圧」に相当し、いずれも重要な診断項目です。
1)pH
pHは酸度を表し、pHが低いと酸性、高いとアルカリ性を示します。pHが低くなる原因としては、多肥、降雨などによる石灰などの塩基類の流亡など、高くなる原因としては塩基類の蓄積が考えられます。
pHが低い場合には、活性アルミニウムなどによる生育阻害、りん酸欠乏症やマンガン過剰症などの生理障害の発生、硝酸化成菌の活動低下と亜硝酸ガス害の発生などが生じます(表3-13)。
このため、石灰質資材を施用して図3-2に示すような作物の生育に適する土壌pHに矯正します。pHが著しく低い場合や早期にpH矯正をしたい場合には、苦土石灰や炭カルにかえて消石灰などアルカリ分が高い資材を施用します。pH矯正に必要な石灰質資材の施用量は、土壌pHや土壌の種類、施用する資材などによって異なりますが、概ねpHを1上げるのに炭酸石灰で10aあたり150~200kgが必要です。
一方、土壌pHが高い場合には、鉄やマンガン、亜鉛などの欠乏症やアンモニアガス害が発生しやすくなります。このため、石灰質資材の施用を止め、掛け流しなどによる除塩を行います。硫黄華を使ってpHを下げる方法もありますが、ECが上昇するなどの問題点があります。

図3-2 作物別好適土壌pH

2)EC
ECは電気伝導度ともいい、土壌中の肥料成分、特に硝酸態窒素含量を推察するためによく測定されます(図3-3)。一般にEC値が高ければ、土壌中に硝酸態窒素が多く残存していると推察して、元肥や追肥の施肥量を少なくします(表3-14、3-15)。また、EC値が低ければ土壌中の硝酸態窒素量は少ないと推察して、追肥を施用します。一度に施用する追肥の窒素量は、10aあたり、速効性肥料で2~3kg以内、緩効性肥料で4~5kg以内とします。
このようにECは簡便に土壌中の窒素含量を推察する手段として広く活用され、土壌診断には欠かせない項目となっています。しかし、近年、ハウス栽培土壌では、ECと硝酸態窒素含量との相関が低く、硝酸態窒素がないのにECが高いという場合が多くみられるようになってきました。これは、硫酸アンモニアや過りん酸石灰、硫酸加里などの硫酸根肥料またはこれらを配合した肥料の施用によって、土壌に硫酸根が多量に蓄積してきたためです。このため、硫酸根が蓄積しているようなハウス土壌の診断を行う際には、ECの測定だけではなく、硝酸態窒素の測定も併せて必要となってきています。。

図3-3 ???土壌におけるECと硝酸態窒素の関係(高知農林技研)